■月望む夜〜ストーリー〜■


友人を待つ間に見つけた、噴水に浮かぶ『浮き』。

ふと疑問に思って手を伸ばした瞬間、何故か私は水の中にいた。

慌てて空気を求めて宙に顔を出した私の耳に、愉しむような少年の声が飛び込む。

「おやおや、面白いものが釣れたねえ」

少年に“釣られて”、身を置かれた場所は『燐天』と言う異世界。

偶然異世界に呼ばれただけなのに、何故か現実に戻る為の費用を
自分で工面しなければ無いなんて。

激しく理不尽だと思いながらも、師匠と仰がれる少年と、彼に師事する赤毛の明るい青年、
冷静に見える男性の中、私は働かされることになった――。


彼らが何者なのか、『私』が呼ばれたのは本当に偶然なのか、
そして、本当に無事現実に戻れるのか……それらは、これから明かされる物語。