九、絆【後】

「ぎょわあああああっ!!」

 情けない声を棚引かせながら、身体が落下していく。
 し、死ぬ!? 死んじゃうんですか!?

「やだーーー!!!」

 目をつぶって身体を硬くする。
 コマの温かな鼓動だけが感じられる。と。

「シラネ」

 すぐ近くでヤシロの声がして、身体がきつく抱きしめられるのを感じた。
 窮屈さとは別に、少しだけ、身体の緊張が解ける。

 その直後、胃が持ち上がるような感覚とともに、身体に圧力がかかる。




「……いいよ」

「は」

 ヤシロのとぼけた声に目を開けると、周りの景色が変わっていた。

「え」

 ヤシロの森よりはずっと浅い、森というより丘に近い場所の上空。
 視界が高度を下げていく中、落下地点となる小さな丘の向こうに、古い町並みが
見て取れた。
 
 ヤシロはゆっくりと着地すると、私(とコマ)を地面に下ろす。

「シラネ?」

 ヤシロが再び私に声をかけ、ようやく私は我に返った。と、同時に思い出す。

「っ」

 軽く掴まっていたヤシロの腕を、力いっぱいつねる。

「いたい。痛いよシラネ」
「痛くしてるんだもん。当然です」

 怒りと安堵の心を指にこめる。

「シラネ、ごめん。悪かった。だからその位で……」

 無表情の中に、苦しむ影が見えたので、とりあえず指を離した。
 ヤシロが両手でつねられた部分をさすっている。
 私だって、嗜虐趣味があるわけじゃないから見て喜びはしないけど。

「この殺人犯」

 じっとり恨みを込めて、睨みつけながら告げた。

「ごめん」

 少し肩を落としながらヤシロが謝る。
 でも今度という今度は、そう簡単に許しませんよ!!

「死ぬトコだったじゃない! 何で人を崖から落とそうとか考えるかな!?」
「うん。ごめん……」

 震える身体を両手で抱きながら、気を紛らわせようと歩き出す。
 ヤシロがゆっくりと続くのが分かった。

「普通に考えたら、私死ぬよ。間違いなく。殺人事件発覚だよ……!」

 震えを誤魔化すように大またで歩く。
 肩の上で、コマが心配そうなか細い声を出して、首筋をぺろぺろと舐めている。
 コマを撫でつつ、自分のよく分からない感情を抑えようと声を大にする。

「私は人形とかじゃなくて、生きてんだからね!!」
「うん」

 声が思ったより近くで聞こえ、空いていた右手を温かいものが包んだ。

「いざとなったら実体化を解けばいいか、くらいに思ってた。……ごめん」

 握られたヤシロの手に、力がこもる。
 ……ずるい。

「そ、そんなことできるわけないじゃん。コマが落ちちゃうし、貰った着物だって」

 コマも、着物も、私にとってはとても大切なのに。

「依狛は落ちない」
「?」
「依狛は本来、姿を持たない幽体。魂の部分で主と繋がっているから離れることは
ない。今はシラネの影響で実体化してるだけだよ」
「でも……」

 コマは大丈夫だったと聞いて少し拍子抜けしてしまったけど……。

「着物、嬉しかったのに」

 いつの間にか前から私を引っ張るように歩いていたヤシロの手に、また少しだけ
力が入る。

「着物ぐらいだったら買ってあげるよ」

 私の恥ずかしい独り言はしっかり聞かれてたようだ。

「……そういうんじゃなくって」

 だめだ。
 私はため息をつき、ヤシロに乙女心を理解してもらうのを諦めた。
 『着物』じゃなくて、『ヤシロから貰った』という部分が大事なのに。というか
気に入ってたのはアレであって、他の物じゃないっつーの。

「いらない?」
「……………………いる」

 そして懐柔された。
 このくらいで殺されそうになった怒りを消していいものなんだろうか。
 ……自分の常識力に疑いを持ち始めた今日、この頃。
 コマが賛同するように首を傾げている。


 ヤシロに手を引かれながら丘を下ること数分。

「ところで、何で落とされたの?」

 落とされたということに強調を置いてヤシロに尋ねた。
 このくらいの嫌味は許されてもいいと思う。

「歪」
「ひずみ?」

 全く嫌味は通じなかった。
 まあ、傷つけたいわけじゃないし、いいけど。でも何となく悔しい。

「鬼界では時々歪が生じる。中には空間がねじれて繋がっているものもある。あれは
森とこの場所を繋ぐ歪。街への近道」
「ふーん」

 だからって、落とさなくてもいいと思う。
 うん。それだけは間違いない。

「ヤシロ」
「……何」
「……ヤシロ」
「…………何」
「………………」
「………………」

 どうやら一応、ヤシロも罪悪感を抱いているらしい。
 全くこちらを見ない。
 この辺りで許してみるか。……返答次第では。

「ねえヤシロ」
「ん?」
「……始めからヤシロがかかえて降りてくれれば良かったんじゃないの?」

「あ」

 ヤシロの手をさっきよりも強くつねった。





 * * *





「お〜!!」

 ようやく街に到着。
 朱色の鳥居を抜け、街に入る。
 町並みは、石畳に江戸時代のような平屋作りが多く立ち並んだ、情緒溢れる感じ。

「日光! 太秦!」
「?」

 ヤシロが不思議そうな顔でこちらを見る。
 まあ、分からないだろう。江戸村がある所なんて。

「すごいねー! 地味そうに見えて、結構鮮やか!」

 何だろう。古色が多いようで、地味な中に鮮やかさがある。日本人としては、
懐旧の念を感じずにはいられない。良し!

「縁日が街に広がったみたいな感じだねぇ」

 おのぼりさんよろしく、激しく左右を見回す。
 おお、色とりどり! しかも歩いてるヒトも様々!
 耳が生えてたり、動く木の上に乗ってたり、浮いてたり、そもそも動物顔だったり。
 妖怪祭りみたいだ。

「うぐっ! く、首が……」

 見回しすぎて筋を痛めた。痛いよ。

「シ、シラネ……」

 横を見れば、ヤシロが片手で顔を押さえていた。

「わ、笑わないでよ!」

 仕方ないじゃん。珍しいんだもん!

「……うん。地界とは随分違うから……」
「む」

 妙に優しい視線を感じる。くっ。何だか屈辱的だわ。
 ヤシロの手をぐっと引っ張って抗議した。

「ごめん。約束どおり、呉服屋へ――」

 くすくすと笑うヤシロが、街の中の一軒を指差したときだった。


「境師さま!!」


 女性の、凄く嬉しそうな声が降りかかった。

「ツヌキ」

 そして、ヤシロの一言。

 視線をヤシロから前方に移してみて、視界に女性の姿が映った。
 桃色がかった銀髪、こぼれそうなほど大きな赤い瞳、白い肌。桃の花を人にした
ら、このようになるというくらい、可憐なヒト。

「あ」

 頭から、梅の枝のような細い枝が二本生えている。つ、角!?

「境師さま! ようこそ我が町へ!」

 その女性は息を切らせて駆け寄ってくると、眩しいほどの笑顔を向けた。まあ……
ヤシロだけに。
 私には。

「………………この方は?」

 笑顔だけど、笑ってない! 笑ってませんよ。
 ヤシロと繋がれたままの手を見、私をつま先からてっぺんまで注視し、ヤシロに
熱い視線を送る。

 ああ、はい。なるほど。

「おく――」
「知り合いです」

 やばそうな気配がしたので、繋いでいた手を離し、ヤシロの言葉を遮って答えたら、
あまり嬉しくなさそうな視線が返ってきた。

「シラネと申します。よろしく」

 冷や汗をかきつつ、笑顔で片手を差し出す。
 女性――ツヌキさんは大きな目を瞬かせた後、一言だけ言った。

「ツヌキと申します。この街の司の長女でございますわ」

 無表情で。
 私は仕方なく、差し出した手を引っ込める。くぬぅ。

「そうですわ。境師さま。父が境師さまに報告しなくてはいけない事があると申して
おりましたの。いらして下さいな!」

 再びヤシロ限定で笑顔を浮かべると、さっと彼の手を取り、歩き出した。
 意外に強引。
 ヤシロがついて行く=私も行かなきゃいけない。

「ツヌキ」
「そうそう、境師さまのために、珍しい茶菓子を手に入れましたの。きっと気に
入られますわ」

 音符やらハートやら飛び散ってそうな様子で、ツヌキさんは喋る。
 ヤシロの声は聞こえていないみたいだ。
 ヤシロは彼女を見て、そして私をすまなそうな様子で見る。

 ……別に、いいし。

 肩の上のコマは、彼女を威嚇していた。

「いやいや違うから!」
『きゃんっ』

 コマの顔を手で塞ぎ、何が『違う』んだ!? と自分で自問自答。
 とにかく違う。違うの。

 顔を上げれば、ツヌキさんに引っ張られながら、ヤシロが笑ってた。
 ……見られてたようだ。

 ヤシロを意図的に見ないように街並みに目を向ける。

「あれ?」

 ふと思った。
 結構ヒトが多いのに、すいすい進む。

 そう注意して見れば、人々が自然と道をあけ、ヤシロに頭を軽く下げて通り過ぎ
ている。私はそのおこぼれで楽に進めるみたい。

 頭の中に、コウハの声が蘇る。

 『境師はヤシロ一人しか――』

 貴重な境師。この『白カサギ』を守る結界を管理する、唯一の存在。

 ……もしかしなくとも、ヤシロってもの凄く偉いんだろうか。

 ヤシロは、無表情で足を進めている。
 何だかいつもよりずっと、彼が遠くに感じる。

「……変なの」

 ヤシロはヤシロだと思う。
 うん。それでいい、はずだ。

 頭を軽く振って、考えを追い出す。
 そうこうしてるうちに、一際大きな家屋の前に着いた。
 というか、ここ、神社の社??

「さあ境師さま。どうぞ中へ」

 彼女は社の戸を開き、ヤシロを手招く。
 私も続いて入ろうとしたら、

「貴女は買い物でもなさっていて下さいな。ここからは門外秘ですの」

 むか。

「ツヌキ、シラネは――」
「門外秘、ですわ」

 ヤシロの口ぞえでも、ツヌキ様のお許しは頂けないようだ。 
 というか、絶対もらえない。
 まあ、決まりだっていうなら仕方ないと思う。ただ。

「どうぞ境師さま」

 ちょっと癪に障る。
 そんなに凶悪な顔をしていたかは分からないけど、ヤシロがばつの悪そうな表情で
こちらへ近寄ってくる。
 ……いや、近すぎない?
 
 ヤシロが、息があたるくらい間近で、私を覗き込んでいた。

「や、ヤシロ……」
「ごめん、シラネ」
「いや、気にしてないから!」

 手をぶんぶんと振りながら離れようとすると、いつの間にかヤシロの手が後頭部に
回っていた。
 ドキドキというよりもまず、恐い! 恐いよ!!
 ヤシロの横から見えるツヌキさんが、めちゃくちゃ恐い顔で睨んでるんですけど!

 しかしヤシロは全く気付かず。

「司との話はしばらくかかると思う。……大丈夫?」
「大丈夫! 大丈夫デス!!」
「できるだけ早く戻るけど――」
「分かったから!」

 ずずいと、ヤシロを押し出す。
 ヤシロに関しても、ツヌキさんに関しても、心臓がそろそろカウントダウンに
入ってますから!

 ヤシロはそっと私の後頭部から手を離すと、髪を一房掴んで、少し立ち止まった。

「シラネ」
「な、ナに?」

 やば。声が裏返った。
 足元ではコマが、落ち着かなさそうにぐるぐる回っている。……止まってお願い。

 ヤシロが、私の髪を口元に持ってきながら、こちらを見つめる。
 その目は、今だかつてないくらい真剣で……。

「や、ヤシロ……」

 心臓が……!
 思わず目をつぶって言葉を待っていると。

「あそこの出店で団子を」
「……………………………………………………了解」

 コンニャロウ。
 
 こうして一時、別行動となった。






「暇」

 かと言って、ヤシロから離れて動くことが出来るわけじゃなく。
 社の裏側の手すり上で足をバタつかせつつ、お団子を落とさないよう手で押さえる。
 お団子の出店まで行けなかったので、足をくじいた振りしてお店のおじさんを呼び
つけて買った一品だ。

 食べて時間を潰せるわけでもなし、暇だ。

「暇だよねー、コマー。コマ?」

 コマが何かに気付いたかのように膝から飛び降りた。

「コマ、どうしたの?」

 そのまま、社のすぐ裏の木々の間に消えていった。

「コマ!」

 慌てて、コマを追いかける。
 ヤシロから物理的に離れられないのは分かってるけど、行ける所までなら。



 木の横を抜け、茂みを越える。
 細い木が集中しているため、奥が見えない。
 コマの姿も、背の高い草に紛れて見ることが出来ない。

「コマ!」

 私はヤシロから離れられないけど、コマは違うようだ。主らしい私から離れて、
自由に動くことが出来る。

「コマ!!」

 コマを探すように背伸びをしながら、周りに注意を向ける。

 この辺りで、五メートルかな?
 
 足元に線を引きつつ、辺りを確認する。コマは、見えない。

「コマー! おいでー!」

 たかが五メートルほどしか離れていないのに、もうこの場所から社が見えない。
 ……何だか、怖い。

「コマ!」

 怖さと苛立ちで、ひときわ大きな声を出した、その時。


「探してるのは、この子かな?」
「!?」


 背後からした声に振り向けば、もの凄く近くに男の人が立っていた。

「んきゃあっ!」

 飛び跳ねるように前方に動いて、彼から距離を取る。
 心臓が、ばくばくと跳ね上がった。

「あはは。ごめんね。驚かせて」

 口元に手を当てながら、その人はくすくすと笑っている。

 普通の、ヒトだ。

「なんだ……」
「?」

 心臓の位置に手を当てながら、安堵の息をもらす。
 私ってば、また何かお化けとか出てきたのかと思ってしまった。

「あ、すみません。驚いたりして――」

 落ち着いた脳で、もう一度男のヒトを見た。

 ……まじ?

 さらさらの金髪、澄んだ緑色の瞳、整った鼻筋、形の良い唇……すごい綺麗。
 年の頃は二十代後半くらいだろうか。バランスの取れた身体に、柔らかな笑み。
 その綺麗さは、ヤシロに匹敵するものがある。

 身内の贔屓目ではないと思いたいけど、私の『綺麗さ』のナンバー1はヤシロだった。
あまり表情が動かないことや、微妙な性格を入れても、彼の綺麗さは浮世離れというか、
段違いだった。
 でも、この人も同じくらい綺麗。
 ヤシロが月なら、この人は太陽だと、そんなくさいことをも思う。

 そんなヒト離れした綺麗さがヤシロと似ているせいか、妙な懐かしさも感じる。

「どうしたの?」

 ぼうっとしていたら、優しい声で、そう問われた。

「あ、い、いえ、すみません! あまりに綺麗なのでつい見惚れて……って、あ」

 思わず考えてたことをそのまま言ってしまった。
 穴があったら入りたい。

「そう? ありがとう」

 彼は(彼で合ってると思うんだけど)、浮かんでいた笑みを深くする。

 うわわ。やばい。
 本来、美形にはあまり興味のない私だけど、ちょっとキツイ。
 このままじゃ心臓がスリープモードに入りそうだ。

 目を逸らそうにも失礼だし、と困っていると、彼の腕に抱かれていたコマに気付く。

「コマ!」
『きゃんっ』

 慌てて彼に近寄ると、コマが彼の腕から抜けて私に飛びついてきた。

「良かった……何処行ってたの、もう……」

 コマを撫でると、ばつが悪そうに丸まってしまった。

「なるほど……」
「?」

 顔を上げると、青年が何やら楽しそうに微笑んでいる。うぐ。

「君の犬?」
「あ、はい。どうもありがとうございました!」

 私はコマを抱えたまま、深くお辞儀をする。

「気にしないでいいよ。……こんなに可愛いヒトと繋いでくれたわけだし、ね」
「い」

 えっと……うん、社交辞令。
 そう言い聞かせているのに、顔が熱い。
 見れば、彼がまたおかしそうに笑っている。

「ああ、ごめん。あまりに可愛らしいものだから」
「そ、そ、そんなことないです……!!」

 慣れてない。何だこの居心地の悪さ。
 痩せてないのに「痩せてるよ〜」と友達に言われるような居心地の悪さ。
 そのこころは? キツイんだってこと。

「あの、お時間をとらせてすみませんでした! もう二度とこんなこと起きない
ようにしますんで!!」

 それじゃあ、そう言って逃げようとした。



「ねえ、ヤシロは元気かな?」



 彼の口から、その名が漏れた。

「え」

 逃げようとした身体を再び向ければ、相変わらず微笑んでいる。

「ヤシロの、お知り合いですか?」
「うん。随分長いかな?」

 彼をじっと見るけど、嘘は言ってなさそう……?

「元気、だと思います」

 ちょっと警戒しながら、言う。嘘は言ってない。今大きい姿だし。

「そう」

 彼はそれしか聞かなくても、満足そうに微笑んだ。
 ……どういう関係なんだろう。
 とりあえず、この二人が街を歩いたら、『カモねぎ』だな。

「聞きたい?」
「え?」

 面白そうに、彼は続ける。

「どういう知り合いか」
「いや、それは……」

 気になる。けど。

 悩んでいたら、視界が暗くなった。

「?」

 顔を上げると、目の前に身体が。

「え」

 すぐ近くに、彼がいる。
 なんか、これ、ヤシロの時も……。

「君になら、教えようかな」

 微笑みながら、彼の手が私の顔の横に伸びる。
 すぐ横に熱を感じても、咄嗟には動けなかった。



 バチッ!!



 大きな音と同時に、眩しい光の柱が上がる。

「な、何コレ!?」

 光の柱の中に、私は閉じ込められていた。
 目の前では、彼がその流麗な眉を少し上げて、手を押さえている。

「だ、大丈夫ですか!?」

 何が起きたのかさっぱり分からないけど、彼に怪我をさせてしまったんだろうか。
 でも、当の本人は、怒ることもなく、ただ手を押さえながら面白そうに笑っている。

「なるほど。これは面白いね」
「あ、あの、手は……」
「ああ、これ?」

 彼が押さえていた手を離す。
 現れた彼の手は、傷一つついていない。

「よ、良かった……」

 コマを届けてくれた上に、怪我なんてさせたらと思うと、血の気が引いていく。
 何なのよ、この柱。

 一方、彼はおかしそうに手を口に当てて笑い続けている。

「姫」
「え?」

 柱に触れないぎりぎりまで来ると、彼は声を潜めて私に告げた。



「また会おう。――我らが姫」



 艶やかな笑顔が、残される。
 頭の働かない私を置いて、彼はその場から離れて行き、そして消えた。

「な、何だったわけ…………?」

 私を包んでいた光は収束し、やがて目に見えなくなった。それと同時に、私も
自由に動けるようになった。
 でも結局私は、ヤシロが呼びに来るまでその場を動けずに居た。






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